BLOGブログ

住宅コラム:家づくりで見落としがちな快適な住環境と換気計画の関係性 その

2020年10月10日

こんにちは、あおば住建の山崎です。前回は、快適な暮らしを得る為には「換気」は欠かせない事までお話をさせて頂きました。今回はその続きとなります。それでは。

【換気方法の違いによる特徴】

私:「一口に「換気」といっても、主に「自然換気」と「機械換気」に分けられ、それぞれにも幾つかの分類があるので、まずは簡単に特徴を説明します。」

『自然換気の種類』
自然換気には、建物の「内」と「外」で自然に発生する「温度差」と「気圧差」を利用した2種類の方法があります。

【温度差による換気】
空気の「温かくなると上昇する」特性を活かした換気方法です。換気量は、建物の開口面積の大きさの他に、「給気口と排気口の高低差の平方根」や「建物内部と外部の温度差の平方根」に比例して大きくなります。

◇メリット

・機械が必要ないので、コストがかからない
・一度で多くの換気量を得る事が出来る

◆デメリット

・換気に温度差が必要な為、部屋によって効果の差が生じる
・温度差が少ないと、必要な換気量を確保できない
・換気量の調整が難しい為、計画的な換気が困難

【気圧差による換気】
空気の「圧力の高い方から低い方へ流れる」特性を利用した換気方法です。換気量は、建物の開口面積の大きさの他に、「建物内部と外部の圧力差の平方根」や「外部風力の2乗」に比例して大きくなります。

◇メリット

・機械が必要ないので、コストがかからない
・一度で多くの換気量を得る事が出来る

◆デメリット

・風通しの悪い部屋には十分な換気が期待できない
・風が弱いと必要な換気量が確保できない
・換気量の調整が難しい為、計画的な換気が困難

初音さん:「あのーさっきから「数学」か「物理」を聞いているみたいで、さっぱりわからないのですが・・・。」

私:「申し訳ございません。簡単に言うと、どちらも換気する開口部が大きいほど、換気量が増えるんですが、建物内外の「温度差」や「圧力差」も大きく影響してくるので、計画的な換気をするのが困難という事です。ですが、短時間で室内の空気を入れ替えるには向いている換気方法です。」

『機械換気の種類』
人為的に換気扇などを取り付ける事で換気を行う方法を「機械換気」と呼びます。この機械換気ですが「給気口」や「排気口」の仕組みによって、3種類に分類されます。

【第1種換気設備】
給気口と排気口の両方に機械設備を設けた換気方法です。第1種換気設備の特徴は、室内の気圧を「負圧(室外に対してマイナスの圧力)」と「正圧(室外に対してプラスの圧力)」のどちらにも調整できるので、「高気密住宅」や「クリーンルーム」などで積極的に用いられます。これまで住宅では第3種換気設備が主流でしたが、近年、この第1種換気設備を採用する住宅会社が増えています。

◇メリット
・性能の高いフィルターを用いれば、外気に含まれる有害物質を除去できる
・熱交換システムを組み込みことができる
・室内の換気量の調整が容易

◆デメリット
・導入時のイニシャルコストが高額になりやすい
・日々に必要なランニングコストも高額になりやすい
・フィルターの交換など、メンテナンスを怠ると性能が劣化してしまう

【第2種換気設備】
給気口に機械設備を設け、排気口に開口を設けた換気方法です。第2種換気設備の特徴は、室内の気圧を「正圧」に保てるので、建物の隙間から空気が内部に流入する心配がなく、「病院の手術室」などに用いられますが、一般的な住宅に導入される事はほとんどありません。

◇メリット
・換気設備を取り付けた部屋の空気を清浄に保てる
・イニシャルコストやランニングコストを抑える事が出来る
・室内の換気量の調整が容易

◆デメリット
・一度に大量の換気をするには、出力の大きな機械が必要
・室内の空気を強制的に排出する為、外気温の影響を受けやすい

【第3種換気設備】
給気口に開口を設け、排気口に機械設備を設けた換気方法です。第3種換気設備の特徴は、室内の気圧が「負圧」になるため、取り付けた近辺の汚染空気が流出する心配がなく、多くは「トイレ」や「キッチン」等に設置されます。一般的な住宅では、最も採用されている換気設備です。

◇メリット
・ニオイの発生しやすい場所に取り付ければ、ニオイの発散を防いでくれる
・イニシャルコストやランニングコストを抑える事が出来る
・室内の換気量の調整が容易

◆デメリット
・一度に大量の換気をするには、出力の大きな機械が必要
・室内の空気を強制的に排出する為、外気温の影響を受けやすい

初音さん:「一口に機械換気と言っても、たくさんの種類があるんですね。ところで、一番おススメの効率の良い換気方法は一体どれですか?」

私:「それぞれの換気方法によって適した場所があり、コストも大きく変わりますので、一概にどれとは言いにくいのですが・・・。私個人的には、より快適な住環境を求めるなら、「第1種換気設備」と「熱交換システム」の併用をおススメします。ただし、導入費用や運用費用が高額になりますので、デメリットも忘れてはいけません。コストが安価な「第3種換気設備」でも、建物の気密性能をUPさせれば、計画的な換気が可能なので、快適な住環境を得る事も可能です。」

※「熱交換とは?」
排出される空気の熱エネルギーを流入する空気の熱エネルギーと交換する仕組みの事、夏季には室内から排出される冷たい空気を利用して、室内に取り入れる外気を冷やし、冬期には室内から排出される温かい空気を利用して、室内に取り入れる外気を温める事が出来ます。

今回はここまでです。次回はこのコラムのまとめになります。楽しみにしてて下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です