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住宅コラム:断熱性能を表す指標、Q値・UA値について②

2020年7月10日

前回は、「建物の「断熱性能」や「省エネ性能」を示す指標として、現在はUA値が使われています。」という所までお話ししました。今回はその続きです。前回と同様、会話形式で話を進めていきます。それでは

建物に使用される材料の断熱性能の比較

※以下ご紹介するのは、右に行くほど断熱性能が高くなります。

構造材:鉄⇒木⇒コンクリート   

断熱材:グラスウール⇒セルロースファイバー⇒ロックウール⇒ポリスチレンフォーム⇒ウレタンフォーム

サッシ:アルミ⇒アルミ樹脂複合⇒樹脂

ガラス:単体ガラス⇒ペアガラス⇒トリプルガラス

これらを参考に、例えば木造の建物でしたら、「断熱材にウレタンフォーム・トリプルサッシの樹脂サッシ」を取り入れますと最も高い断熱性能が得られ、逆に「断熱材にグラスウール・単体ガラスのアルミサッシ」を取り入れますと最も低い断熱性能となる事がわかります。

しかしながら、同じ材種であっても「メーカー」や「商品」によって断熱性能は変わりますので、マイホームの断熱性能や省エネ性能にこだわるのでしたら「樹脂サッシは断熱性能が高い」と覚えるのではなく、その商品のU値の数値に注目してあげると、より性能の高い建材を見つける事が出来ると思います。

【U値とは:熱貫流率の事を示す指標で、温度差のある空間を隔てる物体の熱の伝えやすさを表す数値。数値が小さい程、熱を伝えにくく断熱性能が高いとされています。】

初音さん:でも、断熱性能が高い材料って高価ですよね?お家に採用したいけど予算には限界があるし・・・。

:確かにおっしゃる通りで、断熱性能の高い建材や最新の断熱構造は高価になりますが、必ずしもすべての建材を最高級にするのではなく、コストパフォーマンスに優れたU値の高い建材を優先的に取り入れていけば、予算内で温熱環境の良い家を手に入れる事は決して難しい事ではないと思います。
それに、建物に使う建材や建物の大きさ・形状が分かれば事前に計算してUA値を出す事も出来ますので。

初音さん:えっ!そうなんですか?てっきり建物が完成しないと断熱性能は分からないと思っていました。

:そんな事はありませんよ。建物の形状にもよりますが、外皮計算(UAの算出)に慣れた建築士であれば1~2時間程度で概算のUA値が出せると思いますし、逆に「高気密・高断熱の家」と全面的にアピールしておきながら、外皮計算を「有料になります。」等と言って渋ったりするようなら、自社の建物のUA値に自信がないか、算出方法を知らない可能性が高いか、もしくは自社の建物を売る事しか頭にないかだと思いますので、住宅会社選びの参考にしてもいいかもしれませんね。

【地域別】温熱環境の良い家のUA値の目安

以前、次世代省エネ基準と呼ばれていた「平成11年省エネ基準」では、「Q値を基にして、住む場所による温度差の大きい日本を6つに地域区分して基準を設けたのですが、平成25年から「Q値の曖昧さ」や「住まいの温熱環境への関心度の上昇」もあって、「UA値を基にして日本を8つに地域区分」した「平成25年省エネ基準」に変更されました。
また、本来であれば2020年に「平成25年省エネ基準」が義務化される(守らないと家が建てられない)事が決定していたのですが、2023年に延期が決定されましたが、しかし、義務化される事は間違いありません。
余談になりますが、税制面で多岐にわたり優遇される「長期優良住宅」を取得する為には「平成25年の省エネ基準」をクリアしないといけなくなりましたので、「長期優良住宅に適合する建物を建てられる住宅会社」であれば、いつ義務化されてもクリアできる技術を持っている事になりますし、既に完成した住宅でも、平成25年10月1日以降に長期優良住宅の認定を取得した建物であれば、「平成25年省エネ基準」をクリアしている事になりますので目安にしてみて下さい。

初音さん:だから・・・。結局何を目安にした良いんですか?

:申し訳ございません。少し話が逸れてしまいました。基本的には、ご自身がお建てになられる地域の地域区分を割り出し、その地域区分に示されているUA値より数値が小さければ「平成25年省エネ基準」をクリアしている事になります。

:しかし、私個人の意見としては、最低でも実際の地域区分よりも2つ上のUA値を目指して欲しいと思います。例えば、ここ静岡は6地域になりますのでUA値は0.87以下であればクリアですが、温熱環境の良い家を手に入れたいのであれば、2つ上の地域区分、4地域のUA0.75を最低基準の目安にする事をおススメします。
出来れば、せっかくお建てになられるのですから最高レベルの北海道基準UA0.46を目指したいものです。

初音さん:分かりました!!私の建てたい地域は6地域に該当するから、その2つ上の4地域のUA値0.75を最低基準にして、これよりも数値が小さい住宅を建てている住宅会社を選べばいいのね。

;あの~お喜びの所大変申し訳ございませんが・・・。建物の温熱環境の良し悪しは厳密には「UA値」だけでは計れないのです。実は、「C値(隙間相当面積)」と呼ばれる気密性能によっても、建物の温熱環境の良し悪しは変わるんです。

初音さん:エ~ッ!!まだ何かあるんですか?・・・。

今回はここまでです。この続きは次回でお話しします。お楽しみに!!

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