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建築基準法に定められている耐震基準の盲点!?

2019年11月22日

今から3年ほど前になりますが、2016年10月9日にNHKで放送されました「あなたの家が危ない~熊本地震からの警告~」の中で、現行の耐震基準に想定外の盲点があった事が放送されました。私も偶然見ることが出来たのですが、
事の発端は2016年4月に起こりました熊本地震により、甚大な被害があった益城町周辺において、現行の耐震基準(建築基準法に定められている基準)を満たしていた築十数年の住宅が数十棟倒壊した事でした。倒壊した要因はいくつか考えられておりますが、番組では、その要因の一つとして「直下率の問題」を取り上げていました。

芝浦工業大学の蟹澤教授が現地へ赴き実際に倒壊した住宅を調べたところ、専門家が望ましいとされている直下率の数値を大きく下回っていた事が判明し、また、26都道府県472棟の住宅を同様に調べた結果、実に3割近くの住宅が専門家が望ましいとされている直下率の数値を下回っているという結果が、また、直下率は低いが耐震性は保たれた住宅はあったものの、問題を抱えた住宅が数多く見つかったとの事でした。こうした事から、「直下率の低さは耐震性の低下に繋がるにも関わらず、現行の耐震基準には直下率に関するルールは一切盛り込まれていない、つまりこれこそが現行の耐震基準の盲点である。」と蟹澤教授は答えておりました。

番組の最後に蟹澤教授はこうも話されておりました。「設計段階で十分な配慮をしないと、地震時に悪影響を及ぼす事は、何処でも同じ事で、今回の熊本地震に限った事ではない。」と。

近年、どこの住宅会社も「住宅の耐震性=耐震等級3」を掲げております。もちろん、これ自体は間違いではありませんが、デザイン性を重視するあまり耐震等級3はクリアしていても、直下率まで配慮している住宅会社が少ないのが現状です。私も住宅に携わる一人として、この番組を通じて改めて直下率の大切さを考えさせられました。

直下率とは・・・1階の柱や壁に対して2階の柱や壁がどのくらい一致するかを表したもの。目安となる基準として、柱の直下率50%以上・壁の直下率60%以上が望ましい。

おそらくですが、住宅会社様がお使いになられているCADや設計ソフトであれば、間取りを入力した時点で自動的に直下率の判定もされると思いますので、ぜひ一度、ご自身達の間取りがどうなのか問い合わせをしてみて下さい。

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