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住宅コラム:【住宅業界のブラックボックス!?】建物の気密性能を表すC値の真実!! その②

前回お話しをさせて頂きました【住宅業界のブラックボックス!?】建物の気密性能を表すC値の真実!! その①の続きです。

住宅業界のタブー!?住宅会社がC値についてあまり説明をしない理由

断熱性能を表す指標として「UA値」があるのですが、この住宅のUA値は、「外気に接する部分に使われる建材のU値(熱貫流率)」と「建物の大きさ・形状(外気に接する総面積)」が分かれば、事前に算出する事が出来ます。これを外皮計算と言いますが、慣れた建築士なら1~2時間程度で概算のUA値を出すことが出来ると思いますし、逆に「有料になります。」等と言って計算を渋る様でしたら、自社の建物のUA値に自信がないか、算出の仕方を知らない可能性が高いので、住宅会社を選ぶ時の目安にもなります。

このUA値ですが、マイホームの計画段階で算出出来るので、他社に比べて自社の建物の優位性をアピールしやすく、お客様も比較対象にしやすいので、住宅会社にとってお誂え向きな指標とされています。なので、住宅会社はこぞって自社の建物の断熱性能を高める事で、例えば性能の高いマイホームが欲しいお客様に自社の商品を選んでもらう為に、アピールしてくる傾向にあります。

もちろん、「断熱性能」や「省エネ性能」を高める為に「気密性UP」は必要不可欠という事はどの住宅会社も承知している事だと思いますが・・・。
しかしながら、多くの住宅会社では、断熱の話はしても、気密についての話はほとんどしません。せいぜい話があったとしても、「弊社の建物はC=○○で高気密の建物です・・・。」ぐらいではないでしょうか。では、何故、気密について詳しく説明をしないのでしょうか?
色々要因はあると思いますが、一番の理由は、「気密性能UP」を図る為には、現場の「施工精度UP」が必要不可欠だからです。と言うのも、断熱性能を表すUA値は事前に計算で数値を求めることは出来ますが、気密性能を表すC値は、実際の現場にて気密測定を行わないと得られません。万が一、気密測定の結果C値が悪ければ、それは、施工精度が悪い事にも直結しますし、そうであれば工事のやり直しにも繋がります。
気密性の高い住宅を建てる為には、そこに携わる職人さんの「施工の丁寧さ」や「いい家を建てようという想い」が絶対条件となりますし、また、現場を仕切る現場監督の力量も大きく影響します。

しかし残念ながら「注文を受けた住宅を下請けに丸投げする住宅会社」や「技術力の低い住宅会社」では、気密性の高い住宅を建てる事は難しいですし、工事請負契約書でC値を保証するリスクも負いたくありません。
ですから、多くの住宅会社で気密性能の重要性をアピールしたがらないし、契約を取らないと給料が貰えない住宅営業マンはC値をキチンと説明したがらないんです。

これがC値が「住宅業界のブラックボックス」と呼ばれる所以です。

初音さん:「それじゃぁ、私達には気密性が高い「温熱環境のいい家」を手に入れる事はできないんですか?」

私:「ちょっと、慌てないでください。もちろん「温熱環境のいい家」に高い気密性が欠かせないことは分かっているので、「気密性能UP」に力を入れている住宅会社がないわけではありませんし、近年増加傾向にあります。」

初音さん:「そうは言っても、住宅の気密性能をUPする為には、職人さんの「施工精度」が必要不可欠なんですよね。それじゃぁ、建物自体の価格も凄く高くなって、それこそ私達では、簡単に建てられないんじゃ・・・。」

私:「そんな事は決してありません。確かに、住宅の気密性能をUPする為には、「建材と建材の接合部に気密テープの施工」等が必要なので、多少なりとも「費用」や「建設期間」は余分に生じますが、一番大事な事は、「施工の丁寧さ」や「いい家を建てようとする想い」ですから、住宅会社選びに失敗しなければ、手に入らないわけではないんです。」

初音さん:「本当ですか~!それじゃぁ、実際に気密性が高くて「断熱性能」や「省エネ性能」の高い「温熱環境のいい家」手に入れる為には、どんなことに気を付けたらいいんですか?」

今回はここまでです。次回、この続きをお話しします。【住宅業界のブラックボックス!?】建物の気密性能を表すC値の真実!!も次回いよいよ完結編です。楽しみにしてて下さい。

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住宅コラム:【住宅業界のブラックボックス!?】建物の気密性能を表すC値の真実!! その①

「温熱環境の良い家」を見極める為には、断熱性能を表す「UA値」は重要な指標ですが、本当に手に入れようと思ったらこれだけでは手に入りません。
ところで、突然ですが皆様は「C値(相当隙間面積)」という建築用語をご存知でしょうか?
これから家づくりを始める方はもちろんの事、今現在、一生懸命家づくりを頑張っている方でもあまり聞き慣れない言葉かもしれません。また、住宅業界に携わっている方でも、キチンと「C値」を説明できる人は少ないのではないでしょうか。
しかし、そんな「C値」ですが、建物の気密性を表す重要な指標である事はもちろんの事、「温熱環境の良い家」を見極める為に必要不可欠なんです・・・。

C値とは?

C値とは、簡単に言えば、建物にどれだけ隙間があるかを表したものです。一般的に、数値が小さい程建物の隙間は小さい事を表し、「気密性が高い」と呼びます。
いきなり建物の気密性と言われてもピンとこないと思いますので、「住宅を水槽に例えて」説明していきたいと思います。

【ここからは、会話形式で説明していきます。出演は家づくりが初めての初音さんとコラム主の私です】
※皆様も金魚になったつもりでイメージしてみて下さい。

ケース1:穴が開いていて中の水が漏れている水槽の環境は?

初音さん:これじゃぁ水が無くなって住めません。

:そうですね。でも、この「穴が開いて中の水が漏れてしまう水槽」というのが、一般的に建てられている住宅なんです。つまり、「水槽の穴」⇒「住宅の隙間」「水槽の水」⇒「快適で過ごしやすい温度の空気」という事なんです。

初音さん:「水槽の穴」⇒「住宅の隙間」「水槽の水」⇒「快適で過ごしやすい温度の空気」って事は・・・つまり・・・そっか!!隙間が少ない住宅が、気密性が高く快適で過ごしやすい住宅って事なんですね。

:その通り。住宅の気密性をUPすると、「快適で過ごしやすい空気」が逃げにくく断熱性能を高める事で「温熱環境の良い家」になるんです。

初音さん:そっかー「温熱環境の良い家」を手に入れる為には「気密性能」は欠かせないんですね。じゃぁ気密性が低い住宅ではどうしたら快適に過ごせるの?

:それは、これまで多くの住宅会社が推奨してきた住宅の事なんですが・・・。先程と同様に「水槽に住む金魚」で例えますね。

ケース2:中の水が漏れている水槽に蛇口から水を足している環境は?

:上のイラストの様に、外に漏れてしまう水「快適な温度の空気」以上の量の水を蛇口「エアコン等の冷暖房機」から補填しているのが、残念ながら大多数の「温熱環境の良い家」の実情です。つまり、じゃんじゃん水「快適な温度の空気」を追加している事に気付かず、「温熱環境の良い家」と感じているだけなんです。「温熱環境の良い家」と言われている現在の住宅でも気密性が低ければ、実際には「穴が開いていて中の水が漏れてしまう水槽」に住んでいるのと変わらないのです。

初音さん:でも断熱性能が高ければ「温熱環境の良い家」になるんですよね。

:確かに「エアコンなどの冷暖房機(水)」をガンガン追加すれば「室内(水槽)」は快適に保てますが、省エネとは程遠く、光熱費はかさみますし、お世辞にも環境に配慮しているとは言えません。そもそも、断熱性能を高める目的は「外気の影響を受けにくくする為」ですよね。建物の気密性が悪ければ、その隙間からどんどん外気が入ってきてしまうんです。

初音さん:そっか!確かに隙間だらけの住宅だったら、外の空気が入ってきますよね。それじゃ、断熱性能だけを高めても意味がないじゃないですか。

:その通り!本当の「温熱環境の良い家」を手に入れる為には「断熱性能を高める」事はもちろん大事な事ですが、「気密性を高める」事を意識しなかったり、忘れてしまうと、せっかくの断熱性能も半減してしまう事は言うまでもありません。

初音さん:じゃぁ、本当に「温熱環境の良い家」を手に入れる為にはどうしたらいいんですか?

:では、これまでと同様に「水槽に住む金魚」で例えてみましょう。

中の水が漏れない穴の開いていない水槽の環境は?

初音さん:水槽に穴が開いていないから、水も漏れないし快適そうね。

:確かにそうですね。何か特別な事をしたわけではなく、ただ、単純に水槽の穴を埋めただけなんです。

初音さん:ホントですねー。じゃぁ住宅も隙間を埋めて気密性を高めたら「温熱環境の良い家」になるという事ですね。

:そういう事です。「温熱環境の良い家」を手に入れるには、まず、「気密性を高める」事がとても大切なんです。その上で、断熱性能をUPすれば、外気の影響をより一層受けにくくなりますし、エアコン等の冷暖房機の使用を抑えることが出来ますので「省エネ性能UP」にも繋がり、光熱費を抑えて環境にもやさしくなるんです。

初音さん:「断熱性能UP」も大事だけど、その前に「気密性能UP」をする事が大切なんですね。

初音さん:ちょっとまって、それじゃ何で住宅会社さんは断熱の事は話をするけど気密に関しては説明してくれないの?気密性能が大切な事は、住宅会社さんも承知している事でしょう。

:確かにそうですね。それでは次にタイトルにある様に、C値について「住宅業界のブラックボックス」といった理由をお話しします。

※この続きは、【住宅業界のブラックボックス!?】建物の気密性能を表すC値の真実!! その②にてお話しします。

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住宅コラム:断熱性能を表す指標、Q値・UA値について②

前回は、「建物の「断熱性能」や「省エネ性能」を示す指標として、現在はUA値が使われています。」という所までお話ししました。今回はその続きです。前回と同様、会話形式で話を進めていきます。それでは

建物に使用される材料の断熱性能の比較

※以下ご紹介するのは、右に行くほど断熱性能が高くなります。

構造材:鉄⇒木⇒コンクリート   

断熱材:グラスウール⇒セルロースファイバー⇒ロックウール⇒ポリスチレンフォーム⇒ウレタンフォーム

サッシ:アルミ⇒アルミ樹脂複合⇒樹脂

ガラス単体ガラス⇒ペアガラス⇒トリプルガラス

これらを参考に、例えば木造の建物でしたら、「断熱材にウレタンフォーム・トリプルサッシの樹脂サッシ」を取り入れますと最も高い断熱性能が得られ、逆に「断熱材にグラスウール・単体ガラスのアルミサッシ」を取り入れますと最も低い断熱性能となる事がわかります。

しかしながら、同じ材種であっても「メーカー」や「商品」によって断熱性能は変わりますので、マイホームの断熱性能や省エネ性能にこだわるのでしたら「樹脂サッシは断熱性能が高い」と覚えるのではなく、その商品のU値の数値に注目してあげると、より性能の高い建材を見つける事が出来ると思います。

U値とは:熱貫流率の事を示す指標で、温度差のある空間を隔てる物体の熱の伝えやすさを表す数値。数値が小さい程、熱を伝えにくく断熱性能が高いとされています。】

初音さん:でも、断熱性能が高い材料って高価ですよね?お家に採用したいけど予算には限界があるし・・・。

:確かにおっしゃる通りで、断熱性能の高い建材や最新の断熱構造は高価になりますが、必ずしもすべての建材を最高級にするのではなく、コストパフォーマンスに優れたU値の高い建材を優先的に取り入れていけば、予算内で温熱環境の良い家を手に入れる事は決して難しい事ではないと思います。
それに、建物に使う建材や建物の大きさ・形状が分かれば事前に計算してUA値を出す事も出来ますので。

初音さん:えっ!そうなんですか?てっきり建物が完成しないと断熱性能は分からないと思っていました。

:そんな事はありませんよ。建物の形状にもよりますが、外皮計算(UAの算出)に慣れた建築士であれば1~2時間程度で概算のUA値が出せると思いますし、逆に「高気密・高断熱の家」と全面的にアピールしておきながら、外皮計算を「有料になります。」等と言って渋ったりするようなら、自社の建物のUA値に自信がないか、算出方法を知らない可能性が高いか、もしくは自社の建物を売る事しか頭にないかだと思いますので、住宅会社選びの参考にしてもいいかもしれませんね。

【地域別】温熱環境の良い家のUA値の目安

以前、次世代省エネ基準と呼ばれていた「平成11年省エネ基準」では、「Q値を基にして、住む場所による温度差の大きい日本を6つに地域区分して基準を設けたのですが、平成25年から「Q値の曖昧さ」や「住まいの温熱環境への関心度の上昇」もあって、「UA値を基にして日本を8つに地域区分」した「平成25年省エネ基準」に変更されました。
また、本来であれば2020年に「平成25年省エネ基準」が義務化される(守らないと家が建てられない)事が決定していたのですが、2023年に延期が決定されましたが、しかし、義務化される事は間違いありません。
余談になりますが、税制面で多岐にわたり優遇される「長期優良住宅」を取得する為には「平成25年の省エネ基準」をクリアしないといけなくなりましたので、「長期優良住宅に適合する建物を建てられる住宅会社」であれば、いつ義務化されてもクリアできる技術を持っている事になりますし、既に完成した住宅でも、平成25年10月1日以降に長期優良住宅の認定を取得した建物であれば、「平成25年省エネ基準」をクリアしている事になりますので目安にしてみて下さい。

初音さん:だから・・・。結局何を目安にした良いんですか?

:申し訳ございません。少し話が逸れてしまいました。基本的には、ご自身がお建てになられる地域の地域区分を割り出し、その地域区分に示されているUA値より数値が小さければ「平成25年省エネ基準」をクリアしている事になります。

:しかし、私個人の意見としては、最低でも実際の地域区分よりも2つ上のUA値を目指して欲しいと思います。例えば、ここ静岡は6地域になりますのでUA値は0.87以下であればクリアですが、温熱環境の良い家を手に入れたいのであれば、2つ上の地域区分、4地域のUA値0.75を最低基準の目安にする事をおススメします。
出来れば、せっかくお建てになられるのですから最高レベルの北海道基準UA=0.46を目指したいものです。

初音さん:分かりました!!私の建てたい地域は6地域に該当するから、その2つ上の4地域のUA値0.75を最低基準にして、これよりも数値が小さい住宅を建てている住宅会社を選べばいいのね。

;あの~お喜びの所大変申し訳ございませんが・・・。建物の温熱環境の良し悪しは厳密には「UA値」だけでは計れないのです。実は、「C値(隙間相当面積)」と呼ばれる気密性能によっても、建物の温熱環境の良し悪しは変わるんです。

初音さん:エ~ッ!!まだ何かあるんですか?・・・。

今回はここまでです。この続きは次回でお話しします。お楽しみに!!

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住宅コラム:断熱性能を表す指標、Q値・UA値について①

家づくりをお考えの皆様にとって、「夏涼しく、冬暖かい家」に興味はない。と言う方は少ないのではないでしょうか。

今から20年以上前には、そもそも手に入れたくても「夏涼しく、冬暖かい家」が無かったのが現状でした。ですが、建築技術の進んだ現在では、「夏涼しく、冬暖かい家」を手に入れる事はそれほど難しい事ではありません。

しかしながら、築0年~10年くらいの比較的新しいマイホームに住まわれている方でも、「温熱環境」や「温熱環境の良い家」に対しての認知度がまだまだ低かった事もあり、「知らなかった」「性能に関して重視していなかった」という理由で、せっかくのマイホームなのに「温熱環境の良い家にしなかった」と後悔や失敗と感じる方が後を絶たないのが実情です。

確かに「暖かさ」や「寒さ」と言った感覚は個人差も大きく、今の住宅業界で住み比べる事はおろか、試しに体感してみる事さえ難しいのが現状です。また、数値で示されても「何となく良さそう。」と思えるかもしれませんが、実際にはよくわからないというのが正直な所ではないでしょうか。その為でしょうか、多くの方がいくら温熱環境に力を入れたとしても、「自身の過去の経験」や「曖昧な一般論」だけで判断してしまい、その結果「こんなハズじゃぁ・・・」と「後悔」や「失敗」を感じているように思えます。
せっかくの「一生に一度かもしれない家づくり」なのですから誰もが住み始めてから後悔や失敗だと感じたくないはずです。

前置きが非常に長くなりましたが、ここでは、現在の住宅業界で温熱環境の指標とされているQ値・UA値と言った「断熱性能」の目安について話を進めていきます。

以下、会話形式で説明していきます。出演:家づくりが初めての初音さんとコラム主の私です】

Q値・UA値とは?

初音さん:でた~!!「Q値?」「UA値?」・・・建築用語って本当に難しいですよね~。以前どこかの住宅営業マンが言ってた気がするけど、結局何言っているのか分からなくて・・・。

:Q値やUA値は建物の断熱性能や省エネ性能を比較するのにいい指標なんですが、正直、とっつきにくいですよね。それに「どうやって計算する」よりも「どう比較するのか」の方が大切だと思いますので、これから「比べ方」や「目安」をお伝えしていきますね。

初音さん:そうなんです!計算方法なんてどうでもいいんです。私は「暮らしやすい快適なお家」の見極め方の方が大事なんです。

:・・・と言っても、概要ぐらいは知っておいた方が良いと思いますので簡単にご紹介します。

Q値とは: 建物の外壁や屋根(天井)、床などの各部位から逃げる熱量(熱損失)を延床面積で割ったもの。数値が小さい程断熱性能や省エネ性能が高い建物と言えます。】

UA値とは:建物の外壁や屋根(天井)、床などの各部位から逃げる熱量(熱損失)を外皮面積(外壁・屋根・床の面積の合計)で割ったもの。数値が小さい程断熱性能や省エネ性能が高い建物と言えます。】

初音さん:あれっ?何か似てません?要は床面積で割るか、外皮面積で割るかでしょ。

:いい所に気付きましたね。厳密にはちょっと違うのですが「Q値」も「UA値」も似ているところがあって、共通している事は、数値が小さい程「断熱性能」や「省エネ性能」が高く「温熱環境に配慮された家」と言えます。まずはここがポイント!になりますので、「Q値やUA値の数値が小さい程、断熱性能や省エネ性能が高い」と覚えておいて下さいね。

Q値・UA値の違いって何?

初音さん:何で「Q値」と「UA値」を使い分けるんですか?どっちも同じような意味ならわざわざ使い分けなくても・・・ややこしくなってしまいます。

:またまた、いい所に気付きましたね。初めは断熱性能や省エネ性能を示す指標として「Q値」が使われていたのですが、Q値を求める計算方法では、不公平さが出る事が確認され、不公平さを無くす為に、新たな断熱性能や省エネ性能を示す指標として「UA値」が使われるようになったんです。

上図を参考にして頂くと、Q値の計算では、熱損失量を延床面積で割る為、同じ床面積なら熱損失量が少ない「単純な形状の建物」や「外壁や屋根が小さい建物」の方がQ値が小さくなります。また、同じ形状なら、延床面積が大きい程Q値が小さくなってしまうのです。

この仕組みを知ってか知らずか、自社の建物のQ値を良く見せる為に、モデルケースを単純な形にして且つ、延床面積を大きくしている住宅会社が非常に多い(実際にカタログなどで示されている数値は、建物の大きさが40~45坪くらいが多いです。)のが実情です。これではQ値だけでは、建物の性能の目安にする事や比較する事も出来ません。

そこで登場したのが「外壁」や「屋根」の面積を足した「外皮面積」で算出されるUA値です。UA値を用いる事で建物形状が複雑になったり、延床面積が大きくなっても、数値のバラツキがなくなるので、住宅会社の都合で良く見せたり、悪く見せたりすることが出来ません。

こうした背景もあり平成25年に改正された省エネ基準では、Q値に変わり、UA値が建物の断熱性能や省エネ性能を示す指標として使われる様になりました。更に、これまで建てる場所の地域の温度差によって分けられていた「地域区分」も6から8へとより細かく分類される様になりました。(下図参照の事)

初音さん:という事は、Q値ではなく、UA値で比較しないと、建物の「大きさ」や「形状」によって建物の性能を誤魔化されるかもしれないって事ですね。

:その通り!それともう一つ注意してもらいたい事が、中には「UA値≒(0.37×Q値)-0.13という数式でQ値をUA値に変換できます」と、おっしゃる方がいますが、そもそも建物の形状や大きさに左右され不公平さが出るQ値を利用しているのですから、あまり参考になりません。

初音さん:家の断熱性能は「UA」値を目安にする事は分かりましたが、で、結局どのくらいの数値を基準にしたらいいんですか?

:了解しました。それでは「建物に使用される建材の断熱性能の比較」と「マイホームを建てる地域によるUA値の目安」を紹介していきます。

 

今回はここまでです。この続きは次回でお話しします。お楽しみに!!

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住宅コラム:住まいの「寒さ」が・・・。

住まいの「寒さ」健康と密接な関係にある!?

長く健康的に過ごす為には、食生活や運動面だけでなく、住まいの環境が重要だという事を知っている方はあまり多くありません。

暖かい居間と寒い廊下や洗面、あるいはお風呂との温度差により血圧の急変動が起こる事を「ヒートショック」と言います。このヒートショックが原因でなくられる方は、年間約1万7000人とも言われております。これは交通事故でなくられる方の実に4倍以上にも及んでおります。「入浴時の溺死」もヒートショックが原因と言われております。

この様な事故が起こる一番の要因は一体何なのでしょうか?多くの専門家が住まいの断熱性能の低さを指摘しております。つまり、断熱性能が高い家程、こうした事故を未然に防げるのです。

高断熱の家とは、室内と室外で熱の行き来が少ない家の事を言います。住宅の外部に接する壁・屋根・窓などから、熱が逃げにくくなりますので、冷暖房の効率も良く、省エネで夏涼しく冬暖かい快適な住環境が実現します。

快適な住環境を考える上で、断熱性だけでなく気密性についても是非考えて頂きたいと思います。残念ながら現行の省エネ基準には気密性に関する基準が設けられておりませんが、気密性とは隙間風がどれだけ入るのかという事、つまり気密性が悪いという事は少々暖房しただけでは熱はどんどん逃げていき、光熱費がかさむだけでなく、外部からの湿気も入り易く暖房器具を使用するだけで水蒸気が多く発生し結露の発生にも繋がります。この結露の発生が後にカビやダニの発生へと繋がっていくのです。

ですから、快適な住環境を手に入れる為には、断熱性能だけを重視するだけでなく、断熱性能と併せて気密性能についても重視して行く事が住まいの環境を考える上で大切になってきます。

健康に影響を及ぼす住宅の環境とは?

健康と住環境との関連性は、今なお様々な調査・研究が行われております。ここでは健康に影響を及ぼすと言われている住環境をいくつかご紹介致します。

・建材や家具による空気汚染
【化学物質によるシックハウス症候群】:アレルギー 食欲不振
・寒さによる影響①
【さむい室内】:風邪・肺炎・気管支炎・血圧上昇を助長
・寒さによる影響②
【温度差:ヒートショック】:急激な血圧変動による血管へのダメージ
・寒さによる影響③
【結露への影響:カビ・ダニによるシックハウス症候群】:アレルギーなど
・暑さによる影響
【暑い室内】:熱中症
・湿度による影響
【高湿度/低湿度】:熱中症/風邪・気管支炎
・建材の材質・色・ニオイなどの影響
【ストレス因子】:ストレス性の疾病など
・段差や手摺無しなどによる幼児や高齢者の怪我など

寒さが健康に及ぼす影響とは?

日本の3大死因は、ガン・脳卒中・心臓病ですが、これらの原因と言われている高血圧・高脂血症・糖尿病などの患者が近年増えております。

一般的に生活習慣を改善する事でこれらの疾病を予防する取り組みがなされていますが、一方で外部環境も疾病の発生要因になっているようです。この外部環境の一つとして「住宅の寒さ」が挙げられます。

室温の低下による影響

イギリスの住宅の健康・安全評価システム(HHSRS:Housing Health And Safety Rathing System/2006年施行のイギリス住宅法の一部で、基準ではなく、危険性の大きさの程度を示すもの)によると、例えば、室温が16℃以下では高齢者に関しては呼吸疾患や血管疾患などの大きな健康リスクがあるとしています。

また、10℃以下では、心臓発作・脳卒中などの心血管疾患による冬季の死亡率が50%上昇するとしています。年齢別に室温と血圧の関係を調べたところ、高齢者ほど室温低下によって血圧上昇を起こしやすい事が分かってきました。
血圧上昇は血管疾患の発症要因の一つですので、HHSRSの評価を裏付けていると言えます。

ヒートショックによる影響

断熱が貧弱だと、冬には室内から外へと熱が大量に逃げていく為、住宅内に温度差が発生しやすくなります。その結果、常に人がおらず暖房していない部屋(起床時の居間、冬のトイレ、浴室など)や廊下の室温はとても低くなります。

大きな温度差のある部屋を行き来すれば、血圧の急変動が起こります。これが「ヒートショック」です。いわゆる「入浴死」もヒートショックによる血圧変動が影響していると言われており、年間で1万人を超える方が亡くなっています。また、亡くならないまでも、脳血管疾患等による後遺症で介護が必要となるケースがあります。

断熱性能だけじゃない!気密性能も大事なんです!!

気密性というのは、簡単に言ってしまえば住宅にどれだけ隙間があるのかを表しており、気密性が良ければ良いほど隙間が少ないと言えます。
以前の省エネ基準にはこの気密性に関しての基準がありましたが、現行の平成25年改正省エネ基準では、この基準が削除されました。しかし、だからと言って、気密性を無視してもいいというわけではありません。
健やかな生活・快適な生活を求める上で、断熱性能と同じくらい気密性も大事な事なのです。
仮に、断熱性能が良くても、気密性能が悪ければそれだけ建物に隙間が多いわけですから、少々暖房したところで熱が隙間からどんどん逃げていき、光熱費がかさんでいくだけでなく、外の湿気も室内に入り易く、暖房器具を使用すれば水蒸気を多く発生させる事になり、結果、結露の発生に繋がっていきます。そしてこの結露はカビやダニの発生へと繋がっていくのです。最終的には住む方への健康被害へと繋がるのです。
ですから、単に断熱性能を上げれば良いというわけではなく、気密性に関しても重視して行く必要性があります。

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住宅コラム:マイホームの満足度を高めるには?

こんにちは、あおば住建の山崎です。

突然ですが、皆様がもし、「あなたは住まいに何を求めますか?」と聞かれたら、どうお答えしますか?答えは一つとは限らないと思います。

人の「価値観」や「感じ方」は、これまでに暮らしてきた「環境」や「経験」に大きく影響されるので、人によって様々な答えがあるハズです。他に影響される事なく、ご自身が何に「価値」を感じるかをしっかりと把握しておく事で「高い満足度」を得る事が出来るのですが・・・、「一生に一度の一大イベント」と言われる家づくりでは、初めてな事だらけで新しい家に暮らし始めてから気付く「失敗」や「後悔」も決して少なくありません。

今回のお話は、温熱環境についてです。これは、住み始めてから気付きやすく、その反面気付いた時には、「後悔」しても改善するのに困難なものです。それでは、始まります。

 

温熱環境が悪いと起こりうる弊害

温熱環境が劣る事で生じる弊害の一つである、「使いづらい部屋」「使いたくないと感じる部屋」とはどんなものでしょうか?

上のグラフを見てみると、夏場は「寝室」や「居間・食堂」など、「比較的、長時間過ごす部屋」に対しての不満が多く、一方冬場では、「洗面室」や「浴室」「トイレ」など、「短時間だけ利用する部屋」に対する不満が多い事がわかります。

この様に、家づくりをする際に、例えば「快適なリビング」や「開放的な吹抜け」などの間取りやデザインだけに気を取られたり、「浴室」や「洗面所」「トイレ」などでは、設備のグレードだけに気を取られていると、一年を通して高い満足度が得られるマイホームを手に入れる事は困難になってしまいます。

また、昨今、高齢化社会が加速している中、「洗面室」や「浴室」でのヒートショック(温度差による急激な血圧変化)による死亡事故が問題視されております。東京都健康長寿医療センター研究所の発表によると、平成27年度の交通事故による死亡者数の実に4倍以上の方がヒートショックでお亡くなりになっている事がわかっており、ご家族様の命を守る為には、「洗面室」や「浴室」等の温熱環境の改善にも配慮を忘れずに、また、一年を通して「高い満足度」を得る為に、温熱環境にも力を入れた家づくりを考えるべきだと思います。

温熱環境を充実させることで得られる効果とは?

上記グラフを見てみると、全体の68%の人が、温熱環境が良くなると「気持ちや身体に良い影響がある」と答えており、中でも女性の約70%が温熱環境が良くなると「行動量が増える」と答えています。

家庭での家事を担う事が多い女性の行動量が増えれば、新たに手に入れたマイホームでの生活に華やかさが加わり、温熱環境の改善によって薄着で過ごせると、「開放感UP」や「スキンシップの向上」に効果があり、夫婦円満にもつながる事でしょう。

 

温熱環境の良い住まいに出来ない理由とは?

住まいに対して不満を減らし、夫婦円満にも一役買ってくれる「温熱環境のいい家」ですが、実際に満足のいく家を手に入れた方は少数のようです。では、その理由とはどんなものがあるのか、建物の築年数別に見てみましょう。

上記グラフより、築21年以上経っている住まいでは、全体の半数以上が「温熱環境の良い家が、そもそもなかった。」と答えており、その当時は温熱環境の良い家を手に入れること自体が困難であったと思われます。

しかしながら、「築11年~20年」「築0年~10年」と現在に近づくにつれて、「当時は、温熱環境の良い家がなかった。」という意見が減っている事でも、建築技術の進歩により、今では温熱環境の良い家を手に入れる事はそう難しくありません。
ですが、残念な事に「築0年~10年」の建物に住む人達でも、「温熱環境」及び「温熱環境の良い家」について「知らなかった。」「重視していなかった。」という理由で、「温熱環境の良い家を購入する事が出来なかった」と感じており、「住まいの温熱環境に対する認知度」はまだまだの様です。

温熱環境の良否を見極める為に知っておきたい事とは?

「温熱環境の良い家」を手に入れる為のポイントとして、一体どんなことに気を付ければ良いのでしょうか?その疑問に対する答えとして、「ご自身の判断基準を持つ」事が大切だと、私は思います。

例えば、いくら住宅会社の営業マンに「我社の家は断熱性能が優れていて、とても暮らしやすいですよ。」などと言われても、基準が無ければ「何をどう比較していいものか、どの程度優れているのか」を理解する事はできません。そこで、知っておいて頂きたいのが、温熱環境に関する用語です。代表的なのは、「Q値(熱損失係数)」「C値(隙間相当面積)」「UA値(外皮平均熱貫流率)」などの用語なのですが、簡単に言ってしまえば、それぞれが持つ数値は、建物の温熱環境に関する性能を表しており、「数値が小さいほど、温熱環境に優れている」という事を示しております。

これらの数値が小さい家が温熱環境の良い家であるのは間違いないのですが、ここが少しややこしい話になるのですが、温度に対する感じ方は人それぞれ違いますし個人差が大きいものです。また、これまでに暮らしてきた家の温熱環境によっても大きく変わります。

例えば鉄筋コンクリートのマンションなどの建物は「Q値」「C値」「UA値」の数値が低く、温熱環境に優れています。しかし、一方で「木造」や「鉄骨造」の建物(一般的な戸建住宅)はそれぞれの数値が高く、お世辞にも温熱環境が良いとは言えません。

ですから、今まで、鉄筋コンクリートのマンションなどの建物に住んでいた方が、一般的な木造や鉄骨造の戸建住宅に住み始めると、「温熱環境の満足度」は下がりやすい傾向にあり、逆に、一般的な木造や鉄骨造の戸建住宅に住んでいた方が、鉄筋コンクリートのマンションなどの建物に住み始めると、「温熱環境の満足度」がUPする事がほとんどです。とは言え、実際にいざ、マイホームを購入するとなっても、購入する前に実際に住んでみて体感する事なんてほとんどできません。

だからと言って、家づくりの満足度に直結しやすい温熱環境を「一生に一度の大イベントである家づくり」で、おざなりにしていいはずがありません。ですから、「現在家づくりを計画されている方」や「これから家づくりをお考えの方」は、必ず、温熱環境に対する配慮も忘れずに家づくりをされる事をおススメ致します。

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【本当に地震に強い家?】「耐震等級○相当」に注意!②

前回は、「耐震等級をアップするメリット・デメリット」までお話をしました。今回はその続きです。前回と同様会話形式にてお話を進めさせて頂きます。

 

【耐震等級〇相当・・・”そ・う・と・う”というセールストークに注意!!】

ここからは、「耐震等級〇相当の注意点」について説明させて頂きます。「相当」と言う言葉は実に便利で、あたかも実際の耐震性能を満たしているかのような説明で売り込んでくる住宅営業マンもいるので、注意して下さいね。

初音さん:えっ!「相当」って「同程度」って事じゃないんですか!カタログに「耐震等級3相当」って書いてあったら「地震に強い家」だと普通思いますよ~

:本来は、おっしゃる通り「相当」は「ほぼ等しい事」を表す言葉なんですが、ひどい住宅会社になると簡易的な壁量計算で「耐震等級〇相当」と売り出している事もありますし、他にも上級スペックやモデルハウスの耐震等級を指していたり、おおよその予測だったりする事も決して珍しい事ではないんです。
そもそも、建物の構造や形状・間取りが決まっていなければ、耐震等級の計算は出来ないわけですから。

【壁量計算とは】
地震力や風圧力などの水平力に抵抗する耐力壁の量を長さに換算する事で、建物の構造の安全性を確かめる簡易的な計算方法の事。建築確認申請の際には、四号建築物(一般的な木造2階建て等の小規模な建物)のみ可能
※木造3階建て等、規模の大きな建物では認められない

耐震等級を証明する方法は?

実際に耐震等級を評価するには、水平力だけでなく、鉛直力に対する構造の安全性が確認できる「構造計算」と呼ばれる方法を用いるのが一般的です。構造計算には下記の4つの計算方法がります。

〇許容応力度計算
〇保有水平耐力計算
〇限界耐力計算
〇時刻歴応答計算

構造計算を用いない場合、四号建築物(一般的な木造2階建て等の小規模な建物)であれば、「壁量の確保」や「耐震壁線間の距離」「床組等の強さ」「接合部の強さ」「小屋組み・床組・基礎その他の構造耐力上主要な部分の種別・寸法・量及び感覚」「構造強度」と言った仕様規定を満たす事で、耐震等級3を取得する事も可能ですが、最近では「構造計算」を用いる住宅会社が多くなりましたので、あまり目にする事はなくなりました。

:「住宅会社がどの計算方法を採用しているか」まで知る必要はありませんが、一般的に構造計算を行っていない建物については「実際の耐震等級はいくつかを知る術はない」と覚えておくと良いでしょう。そうすれば、「耐震等級〇相当」という曖昧な言葉に惑わされる事はなくなりますよ。

初音さん:そっか~でも、間取りと形が決まらないと耐震等級が分からないんじゃ不安よね~実際に計算してみたら、望む耐震等級でなかったらショック!

:最近では、耐震等級3・構造計算が標準仕様と言う住宅会社が一般的になってきましたので、これらを踏まえてご要望に対し、使い勝手を考慮して、「柱」や「梁」「耐力壁」の配置やサイズを変更したり、建物の階高の調整など、出来る限り工夫して、ご要望を反映した間取りやデザインを提案してくれると思います。

初音さん:そっか~間取りやデザインだけでなく、建物の耐震性能にも気を使って提案してくれる住宅会社もあるんですね。ホント、家づくりって、知らないと損したり、取り返しがつかないことも多いんですね・・・。でも、住宅会社に任せておけば、営業マンから説明があるんですよね。

:申し上げにくいのですが、住宅の営業マンだからと言って家づくりにかかわる知識は多岐にわたるので、必ずしも知っているとは限りませんので「詳しい説明」や「注意喚起」を必ずしも受けられると思わない方が良いと思います。また、打ち合わせの省略化を進める住宅会社もありますから、詳しい説明を聞けないこともありえます。説明義務がないので、住宅会社の担当者に依存するのは得策だとは言えないでしょう。

初音さん:げっ!住宅会社にお任せじゃダメなんですね!

:知らないことは気付きようがありませんから、まずは、広く浅くでかまわないので、家づくりに関する様々な情報を収集しましょう。収集した情報の中から取捨選択して、自分達の理想のマイホーム像を見出して行く事が、家づくりを成功させる早道ですよ。

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【本当に地震に強い家?】「耐震等級○相当」に注意!①

阪神淡路大震災以降、予見できない大地震に備えて、マイホームの耐震性に注目する方が増えております。特にここ静岡では、いずれ来ると言われています南海トラフ地震に大きな関心を持たれているのではないでしょうか。愛するご家族様を守る為、財産を守る為、「地震に強い家が欲しい!」と考えるのは至極当然の事だと思います。

熊本の震災・大阪北部の地震・北海道胆振東部の地震等々、これまで震度6以上の地震は100年に一度と言われておりましたが、近年では5~10年に一度起きております。ですから、建物の耐震性にも注目しておくべきだと思います。

しかし、建物の耐震性能に関する正しい知識を持っていないと、「地震に強い家のハズが、実際は違っていた・・・。」なんて事になりかねません。と言うのも、何の根拠もない曖昧な「耐震等級〇相当」と言った説明で、高い耐震性が証明された建物と同等の様にセールストークを行う住宅営業マンが少なくありません。また、耐震性能を得意とする住宅会社であっても、建物の「構造」や「間取り」「形状」によっては、耐震性能を向上させることが出来ない場合もあります。

それでは、一体何を基準にし、どのように家づくりを進めれば「本当に地震に強い家」が手に入るのでしょうか?

ここでは、住宅の耐震性能を示す指標の一つである「耐震等級」について解説しながら、「耐震等級をアップするメリット・デメリット」「耐震等級〇相当の注意点」について話をしていきます。【以下、会話形式で説明していきます。出演:家づくりが初めての初音さんとコラム主の私です】

耐震等級で何が分かるの?

初音さん:住宅会社のカタログなんか見ると「耐震等級」って言葉をよく見るけど、何となく建物の耐震性を表している事は分かるんだけど、基準とかがよく分からなくて・・・。どう選べばいいのでしょうか。

:「耐震等級」とは、住宅性能表示制度の導入に伴い用いられることになった、建物の耐震性を示す指標です。1~3の数値で表され、数字が大きくなるほど耐震性が高い事を表しています。

初音さん:なるほど!「耐震等級1より耐震等級3の方が地震に強い家」って事ですね。じゃあ、耐震性能が最も低い耐震等級1だと、どのくらいの強さなんですか?

:「ご自身のマイホームがどの程度の地震に耐えられるか」気になりますよね。では、「耐震等級の基準」について説明していきましょう。

 

耐震等級1の耐震性ってどのくらい?

「耐震等級」とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく、「住宅性能表示制度」で定められた、地震に対する建物の構造躯体の損傷・倒壊・崩壊等のしにくさを表した指標です。
この住宅性能表示制度では、現在の建築基準法で定める耐震性をクリアした建物を「耐震等級1」と表しています。

1981年の建築基準法の改正に伴い、国民の生命や財産を守るために、「新耐震基準法」が施行されました。その際に、「建物の耐震性の制定基準」として、次のような耐震性能が義務付けられました。

1.稀(数十年に一度程度)に発生する震度5強程度の地震に対して、構造躯体にほとんど損傷を生じるおそれがない

2.極めて稀(数百年に一度程度)に発生する震度6強から7程度の地震に対して構造躯体が倒壊・崩壊するおそれがない

新築する場合には、建築基準法の厳守が義務付けられておりますので、少なくとも、1981年以降に新築された建物は、「耐震等級1以上」といえます。

 

初音さん:な~んだ!ようするに建築基準法をクリアしていれば大きな地震が来ても安心という事なのね。

:あの、もしかして、勘違いされているかもしれませんが、耐震等級1は「震度6強から7程度の地震に対して構造躯体が倒壊・崩壊するおそれがない」程度を示すので、地震の後にそのまま住めるかどうかは別問題なんです。
あくまで「大地震の際に避難する猶予がある」ぐらいに考えておいた方が宜しいかと思います。

初音さん:え~っ!てっきり耐震等級1で問題ないかと思いました。それじゃぁ、家族の安全はもちろんだけど、地震の後の生活を考えたら耐震等級2か3の方がいいってことですか?

:建築基準法は日本で建てる建物の最低基準を定めたものなので、あくまで個人的な意見ですが耐震等級3にすべきだと思います。
それでは、次に耐震等級2・3についてお話をします。

 

耐震等級の数値が大きくなるほど耐震性能は向上するのですが、これは耐震等級1を基準に表されております。

耐震等級2・・・耐震等級1の1.25倍の耐震性能を持つ。病院や学校などの災害時の避難場所としても利用される建物の耐震性能が該当します

耐震性能3・・・耐震等級1の1.50倍の耐震性能を持つ。警察署や消防車などの防災の拠点となる建物の耐震性能が該当します

熊本の震災では、最新の建築基準法で建てられた(耐震等級1)住宅であったにもかかわらず、複数の全壊・倒壊事例が報告された一方で、「耐震等級3」で設計された住宅は、ほぼ無傷又は軽微な被害状況であったという報告があります。こうした事からも「家族の命を守る」事は当然の事、「地震の後の生活を守る」事も考えるなら、耐震等級3にすべきだと思います。

 

耐震等級をアップするメリット・デメリット

耐震性能が向上すれば、「地震に強い」という事ばかりについ目を奪われがちですが、デメリットがないわけではありません。ここでメリット・デメリットを紹介します。

メリット

〇地震に対して強くなる
〇台風や強風の揺れが軽減できる
〇住宅ローンの金利の軽減(フラット35s等)
〇地震保険の割引率UP(耐震等級2:30%OFF 耐震等級3:50%OFF等)

デメリット

〇建物の設計・構造強化による建築コストがUP
〇証明書申請・検査などによるコストUP
〇柱の少ない大空間・吹抜けが設けにくい
〇建物の形状がある程度制限される事も
〇重量のある屋根材(瓦等)を採用しづらくなる

※注)地震保険や住宅ローンの金利の軽減や必要書類は金融機関・保険会社によって異なります。

 

初音さん:う~ん、確かに地震に強くなって、保険料やローンの金利も安くなるのは魅力的だけど・・・。その分建築費用がUPするのはちょっと~・・・。ちなみに、どのくらいUPするのですか?

:住宅会社によって標準としている建物の構造や仕様・強度が異なりますので、一概には言えませんが、構造材の強度UPや構造計算などを考えると、そうですね木造であれば建物一坪あたり2~3万円UPを目安にされれば宜しいかと思います。
しかし、ここで注意して頂きたいのは、「間取りなどの空間設計」と「構造躯体の強度設計」は相反する部分が多いのでその事は忘れないでくださいね。

初音さん:そうでした!耐震等級をUPさせれば建物の形状や間取りなんかが制限される事もあるんだ。!

:そうなんです。「耐震性」と「間取り・形状」は相反する関係ですから、間取りを始める前に予め耐震性能に対する考えを住宅会社に伝えておくと良いでしょう。

 

今回はここまでです。この続きは次回お話しさせて頂きます。お楽しみに!

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建築基準法に定められている耐震基準の盲点!?

今から3年ほど前になりますが、2016年10月9日にNHKで放送されました「あなたの家が危ない~熊本地震からの警告~」の中で、現行の耐震基準に想定外の盲点があった事が放送されました。私も偶然見ることが出来たのですが、
事の発端は2016年4月に起こりました熊本地震により、甚大な被害があった益城町周辺において、現行の耐震基準(建築基準法に定められている基準)を満たしていた築十数年の住宅が数十棟倒壊した事でした。倒壊した要因はいくつか考えられておりますが、番組では、その要因の一つとして「直下率の問題」を取り上げていました。

芝浦工業大学の蟹澤教授が現地へ赴き実際に倒壊した住宅を調べたところ、専門家が望ましいとされている直下率の数値を大きく下回っていた事が判明し、また、26都道府県472棟の住宅を同様に調べた結果、実に3割近くの住宅が専門家が望ましいとされている直下率の数値を下回っているという結果が、また、直下率は低いが耐震性は保たれた住宅はあったものの、問題を抱えた住宅が数多く見つかったとの事でした。こうした事から、「直下率の低さは耐震性の低下に繋がるにも関わらず、現行の耐震基準には直下率に関するルールは一切盛り込まれていない、つまりこれこそが現行の耐震基準の盲点である。」と蟹澤教授は答えておりました。

番組の最後に蟹澤教授はこうも話されておりました。「設計段階で十分な配慮をしないと、地震時に悪影響を及ぼす事は、何処でも同じ事で、今回の熊本地震に限った事ではない。と。

 

近年、どこの住宅会社も「住宅の耐震性=耐震等級3」を掲げております。もちろん、これ自体は間違いではありませんが、デザイン性を重視するあまり耐震等級3はクリアしていても、直下率まで配慮している住宅会社が少ないのが現状です。私も住宅に携わる一人として、この番組を通じて改めて直下率の大切さを考えさせられました。

※直下率とは・・・1階の柱や壁に対して2階の柱や壁がどのくらい一致するかを表したもの。目安となる基準として、柱の直下率50%以上・壁の直下率60%以上が望ましい。

おそらくですが、住宅会社様がお使いになられているCADや設計ソフトであれば、間取りを入力した時点で自動的に直下率の判定もされると思いますので、ぜひ一度、ご自身達の間取りがどうなのか問い合わせをしてみて下さい。

 

 

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住宅コラム:地震対策の必要性

子育て世代も熟年世代もみんな願いは同じ!!

地震で倒壊しない家に住みたい!!

最新の耐震構造の住まいが何十棟も倒壊した熊本地震。早いもので、あれから3年が経ちました。今もなお復興・復旧作業が行われている事に胸が痛みます。住まいづくりに携わる者としては、地震対策が頭から離れる事はありません。
特にここ我々が住む静岡はいずれ起こると言われております「南海トラフ地震」の中心に位置しております。静岡でお建てになられる皆様方にとって「地震対策」は切っても切れない条件ではないでしょうか。

 

「地震対策」とは?

現在、建物の地震対策を考える上で代表的なのが「耐震」・「制振(震)」・「免震」のこの3つになるかと思います。以下に簡単ですがそれぞれの特長を記します。

「耐震」とは、字のごとく柱・梁・壁を強くして、どんな地震の揺れにも耐え抜く方法です。建物の耐震性能は一般的に「耐震等級」で表されます。耐震等級は1~3で評価され最も高性能なのが「耐震等級3」です。建物の自重・平面計画・立面計画に大きく影響を受けますので、まずはご自身が建てられる建物の耐震等級を確認する事が大切です。

「制振(震)」とは、地震のエネルギーを熱エネルギーに変える事で揺れを減衰させます。建物の内部に揺れを減衰させる「制振部材」を設置してその効果を得ます。

「免震」とは、地震の揺れを直接建物に伝えない方法です。建物と地盤の間に免震部材を入れて、建物自体の揺れを軽減し壊れにくくします。

 

「耐震」の特長は?

「耐震」は、一言で言えば頑丈なつくりである事が特徴です。しかし、地面からの揺れをダイレクトに伝えてしまう為、地面から遠い場所(2階・3階)で揺れが大きくなる側面があります。
現行の建築基準法の条件を満たした建物は「耐震等級1」となりますが、建築基準法の定める耐震性能は、「ご家族様の命を守る」事が最低基準と定められており、その為大地震の後に住み続ける事が出来ない耐震レベルと言われております。実際に、熊本の震災では、震度7の余震・本震を受けた事により、最新の建築基準法の条件を満たした(耐震等級1)建物が何十棟も倒壊したという報告が挙げられております。

 

最善の地震対策は?

熊本地震の検証から、東京理科大学理工学部 鈴木 賢人助教授がNHKの取材に対し、地震対策の最善の方法は、「地震の揺れを建物に伝えにくくする事」だと答えており、最も有効な方法として「制振(震)」と「免震」を挙げておりました。

現在では様々な種類の「制振(震)」装置・「免震」装置が出ていますが、ただ付ければ良いというわけではありません。「地震対策」で最も大切な事は、「耐震」「制振(震)」「免震」それぞれの特徴をよく理解して、ご自身が住む地域に一番適した対策を選択する事が大切です。

あくまで私の考えになりますが、制振(震)装置・免震装置、いずれかを装備する事で建物自体の耐震性を軽視するのではなく、あくまで建物自体は「耐震等級3」である事、その上で、耐震に+技術という考えのもと、制振(震)・免震を選択される事をおススメ致します。

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